Logicool MX Anywhere 3Sレビュー
MX Anywhere 3Sは、今年6月に発売されたLogicoolのフラッグシップワイヤレスマウスの新製品。
高品質かつ機能的な本製品を、筆者が1週間ほど使った感想とともに、外観から機能まで詳しく紹介する。
製品紹介
本体はプラスチックだが、マット仕上げになっておりチープさはない。
ホイールには金属が使われており、高品質かつ堅牢な印象を受ける。
本体側面は滑りにくいシリコンになっており、操作性も手触りも良い。
メインのスイッチは静音タイプのものが使われており、職場や喫茶店でも顰蹙を買うことはないだろう。
サイドボタンは静音スイッチではないようだが、うるさくは感じない。
特徴的な機能
最大3台のマルチペアリング
接続方式はBluetoothとLogiBolt USBレシーバー。
LogiBoltはLogicool独自の無線規格で、セキュリティや無線の干渉、消費電力などの課題を改善した規格。Bluetoothを搭載していなかったり、セキュリティ的に使用できない環境でもUSBレシーバーで接続できる。
Bluetoothと比べて60%ほど遅延が解消されており、LogiBolt接続した機器同士の切り替えはかなりレスポンスが早い。
3台のデバイスとペアリングを維持でき、裏面のボタンで接続先を瞬時に切替可能(Easy-Switch)。
よく使うPCやタブレットとペアリングしておけば、ボタン一つで切り替えられる。
FLOW機能を使えばカーソルが2台のPCをシームレスに移動し、テキストや画像、その他ファイルをコピー&ペーストできる。ファイルのやり取りや切り替えの頻度が多いなら、是非利用したい機能だ。
FLOWの利用には、専用アプリ「LogiOption+」をインストールする必要があるが、その他の機能の設定にも使うアプリなので、できればインストールしておきたい。
ここまでLogiBoltの使用を前提におすすめしてきたが、残念なことにAnywhere 3SにはLogiBoltレシーバーが付属しないため、別途用意する必要がある。同社のUnifyingレシーバーとは互換性がないので注意。
MagSpeed電磁気スクロールホイール
MXシリーズには、通常スクロールと高速スクロールが自動的に切り替わるMagSpeed電磁気スクロールホイールが搭載されている。また、ラチェットモードとフリースピンモードを手動で切替可能。
と言ってもいまいちわからないと思うのでこちらをご覧いただきたい。
ラチェットモードは回すごとにコリコリとした感覚があるモードで、一般的なマウスと同じような操作感。一方でフリースピンモードは回したときの抵抗感が一切なくなり、勢いよく回すとハンドスピナーのように回転速度が落ちるまで回り続ける。
ラチェットモードで少しずつスクロールするのが通常スクロール、長い文書などをフリースピンモードで一気にスクロールするのが高速スクロールというわけだ。
モード切替はホイール下のボタンで可能だが、LogiOption+から設定すれば、ゆっくり回せばラチェットモード、勢いよく回すとフリースピンモードに自動的に切り替わるようにもできる。
フリースピンに切り替わる回転速度や、ラチェットの抵抗感の強さも設定できるため、自分好みにカスタマイズできるのもポイントだ。
上位機種のMX Master 3Sにはサムホイールが搭載されているが、Anywhere 3Sも水平スクロールに対応している。サイドボタンを押したままスクロールすれば、左右に長いファイルを横方向にスクロールできる。筆者は楽譜制作ソフトを使用する機会があるが、作業効率が一気に上がった。
充電式(Type-C)
一般的に充電式と乾電池式であれば、乾電池式のほうが電池持ちは良いが、Anywhere 3Sはフル充電で最長70日間使用できる。さらに、1分の急速充電で3時間使用可能と、電池持ちを心配する必要は無いだろう。
現在、LogicoolオンラインストアでMXシリーズを購入すると、キャリングケースがもらえる。このケースにはマウス本体にケーブル、モバイルバッテリーをまとめて収納できるので、こちらを利用すれば無敵環境の出来上がりだ。
似た選択肢をいくつか紹介
LogiBolt接続に対応した、機能の近いものをいくつか紹介。
上位機種 MX Master 3S
サムホイールが追加されたMXシリーズの上位機種。
Anywhere 3Sより一回り以上大きくなるので、手の小さい方は注意。
サムホイールには水平スクロール以外の機能をアプリごとに設定することもできる。
他機種では、水平スクロール対応であっても機能の割り当てはできないので、これが必要ならMaster 3Sを選ぶことになる。充電式。
下位機種 Signature M750/M650/M550
Anywhere 3Sでは複数台切り替えができるが、これら3機種の中で複数台切り替えが可能なのはM750のみになるので注意。
この3機種も静音ボタンを搭載し、高速スクロール・水平スクロールも対応している。(MagSpeedは非搭載)
サイドボタンが必要なく、価格重視であればM550
サイドボタンは必要だが、複数台切り替えは必要なければM650
どちらも必要ならM750を選ぼう。
使用感はAnywhere 3Sに見劣りしないが、ホイール部分の質感だけはAnywhere 3Sに軍配が上がる。
特にM750は、Anywhere 3Sで使える機能がほぼ全て使えるので、Anywhere 3Sを検討している方はこちらとも比較してみて欲しい。
3機種ともレギュラー/ラージのサイズラインナップが用意されていて、手が大きい方はラージサイズを選ぶのがおすすめ。乾電池式。
キーボード Signature K855
ここまで紹介したマウスと同じく、LogiBolt接続で最大3台のマルチペアリングに対応したメカニカルキーボード。もちろんBluetoothにも対応。
(筆者はこのキーボードを手に入れたのをきっかけに、LogiBoltに統一するためAnywhere 3Sを購入)
赤軸キースイッチ搭載で、ファンクションキーにはアプリごとに機能の割り当てが可能。
赤軸は比較的静かなスイッチだが、ここまで紹介したマウスと比べるとかなり気になる打鍵音。
自宅でPCやタブレットを切り替えて使いたい人で、打鍵感にこだわりたい人にはおすすめ。乾電池式。
まとめ
ここまで一週間ほど使用してきて、今のところ本製品に欠点らしい欠点は見当たらない。
価格以上の高級感と品質、機能性を考えれば、購入を検討する価値はある。
しかし、ここで正直に話すならば、上で紹介した下位機種のSignatureシリーズにも十分な性能がある。
価格以上の価値という意味ではSignatureシリーズには勝てないだろう。
MagSpeedの操作感は確かに感動的ではあるものの、必須の機能かと聞かれれば答えはNoだ。
Signatureシリーズも、構造は違うが高速スクロールに対応しているので、少しいいマウスが欲しいという需要には確実に応えてくれるだろう。
Anywhere 3Sは、最高のマウスを求める(私のような)ロマンチストにおすすめしたい。