琵琶湖の水が止められたらしい
県民ジョークなどでよく目にする京都VS滋賀の構図があります。
「琵琶湖の水止めるぞ」
特に関西の方なら一度は聞いたことのあるセリフではないでしょうか?
琵琶湖の水を止めるという滋賀県の脅し文句が、今現実になっています。
と言っても、滋賀県が京都を陥れるために止めたわけではないようです。
ただいま定期清掃期間のため、琵琶湖疏水の水がほとんど流れていません!
決して滋賀怒って、琵琶湖の水を止めたのではないですよー pic.twitter.com/kumKHPaOVq
— ぴーちゃん@ラーメン好き?BF?あやのんず?? (@hibiki_ryoga) March 7, 2021
↑のツイートにあるように、定期清掃のため琵琶湖疏水が停水されているそうです。
琵琶湖疏水とは?
琵琶湖疏水は明治時代に京都へ琵琶湖の湖水を流すため作られた水路で、水道用水や工業用水、水力発電などに使われています。琵琶湖疏水の水力発電は、営業用としては日本初のものです。(蹴上発電所)
大津市観音寺から京都市伏見区堀詰町まで全長約20kmを結ぶ「第1疎水」と、第1疎水の北側を並行する全長約7.4kmの「第2疎水」などの総称が琵琶湖疏水です。
今回停水されているのは第1疎水の全域です。
琵琶湖疏水の定期清掃は毎年行われているもので、昨年では7000tもの砂が引き上げられたそうです。
琵琶湖の水、止めるとどうなる?
では、「琵琶湖の水止めるぞ」は実際に脅し文句になりうるのでしょうか?
京都市の水道は桂川や地下水も利用していますが、およそ99%は琵琶湖疏水を通じて琵琶湖から採水しています。
つまり、琵琶湖疏水の水が止められるのは、京都市にとって死活問題となります。
水道用水の採水は第1疎水ではなく第2疎水からなので、今回の停水で水道が止まる心配はありませんが、滋賀県民を怒らせて本当に琵琶湖から京都へ流れる経路をすべて遮断されたら・・・
琵琶湖から流出する河川は1つだけ
琵琶湖の水止めたぞ!→滋賀、自爆
琵琶湖には、400を超える流入河川がありますが、対して流出河川は瀬田川のみ。
瀬田川は宇治川、淀川と名前を変え、京都→大阪を経て大阪湾へ流れています。
琵琶湖からの流出経路は、瀬田川に先述の第1第2疏水、京都府宇治市へ流れる宇治発電所水路の4つだけしかありません。
つまり、京都を通る流れをすべてせき止めると、琵琶湖の水が流出しなくなり溢れてしまいます。
京都を困らせるつもりが滋賀県沈没では話にならないので、琵琶湖の水が止められることはないでしょう。
事実、台風による下流の被害を抑えるため瀬田川洗堰が全閉された際は、滋賀県議などから反発があったようです。琵琶湖:国が洗堰全閉、滋賀県反発 長時間なら大被害 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
この堰は原則全閉操作を行わないという方針が定められており、例外的な対応だったようです。
滋賀県に水は止められない
先のリンクの記事を読んだ方はもうお気づきかと思いますが、琵琶湖唯一の流出河川にして最大の流出経路である瀬田川をせき止める瀬田川洗堰は、国土交通省が管理しています。
つまり国が管理しているわけですね。
ということは、滋賀県が勝手に瀬田川の水を止めることはできません。
同じく琵琶湖疏水の管理は京都市ですので、こちらも止めることは不可能。
そもそも滋賀県には琵琶湖の水を止める手段がないんですね。
滋賀県には、物理的にも行政的にも琵琶湖の水を止められませんでした。
琵琶湖の水が止まっているのを見られるのは、清掃が終わる今月16日までのようですね。
ところで、定期清掃中の琵琶湖疏水ですが、清掃で引き上げられたのは流れてきた砂だけではありません。
引き上げられたものの中には自転車や電化製品など、不法投棄されたゴミもあったようです。
京都や大阪に住む人から、「最近の水道水は琵琶湖が汚れているせいで美味しくない」という声が聞こえることもありますが、果たして原因は琵琶湖だけなんでしょうか・・・?