ノートPC「Lenovo G500」のCPU交換してみた!

本記事は精密機器の分解・改造を推奨するものではありません
本記事を参考にされた場合でも故障やトラブルの責任は負いかねます
メーカー品は分解によって保証が切れる場合もありますので十分にご注意ください

先の記事ではLenovo G500のメモリを交換して、簡単なベンチマークを取ってみました。

今回は前回に引き続き、CPUを交換して遊んでみます。

現状の確認

パーツの用意は済ませてあるので、現状の確認から始めます。

現在、DDR3-1600 4GB1枚だったメモリを、同じくDDR3-1600 4GBを2枚の構成にしています。

違うメーカーのメモリを組み合わせても問題ありませんでしたが、今回は2枚とも同じメモリに統一してあります。

交換する前に

前回のメモリと違って、CPUを交換する際に気をつけなければならないのが発熱です。

スペック上は両者ともTDP 35Wですが、Celeronからi5へのアップグレードということで、少し気になるので発熱も計測したいと思います。

CPU-Zで一定時間負荷をかける方法もありましたが、Crystal Mark実行時とほぼ変わらない数値だったので、Crystal Markを1回実行した際の最高温度を比較してみます。

2コアの最大温度の平均は57.5℃でした。

CPUがある温度に達すると、熱による破損を防ぐために動作周波数を落とし、回路を保護しようとする機能(サーマルスロットリング)があります。

Celeron 1005Mの場合、105℃を超えるとサーマルスロットリングが働きます。

サーマルスロットリングが働かない温度を許容温度とするならば、まだまだ余裕はあるように見えます。

しかし、前回は紹介しませんでしたが、メモリ容量を増やす前は最大温度が51.5℃前後で、最低温度も40℃を下回っていました。

現状最小温度も40℃を超え、メモリ交換で概ね10℃程度の上昇が見られたので、CPUの交換で一気に発熱が増えるのでは?という不安が・・・

ともあれ、サーマルスロットリングが正常に働けば、CPUが熱で破損するという最悪の事態は免れるはずなので、作業を進めます。

 

インテル® Evo™ プラットフォーム準拠PCが登場

 

作業開始

前回同様、バッテリー類と周辺機器を外してから作業開始です。

裏蓋を開けると、左下にCPUを冷やすためのファンが見えます。

ここにホコリが溜まっていると異音がしたり、冷却性能が下がって異常な発熱、性能低下の原因になりますので、エアダスターなどで定期的に掃除しましょう。

よく見ると、ファン部分から金属部品がつながっています。

その先のプレートの下にCPUがあります。

CPUの熱を金属の腕で伝えて、その先のファンで冷やす構造のようです。

CPUの熱をファンに伝える金属パーツをヒートシンクといいます。

デスクトップPCの場合、CPUの真上にヒートシンクとファンがありますが、ノートPCの場合はスペースがないのでこのような構造のものが多いです。

 

ヒートシンクのネジを3本外すと、ファンごと外れました。

緑色の四角い部品がCPUです。

ピンや表面実装の部品に触れないよう、慎重に取り外します。

ドライバーで指している部分を180度回すと、CPUが外れるようになります。

CPUとヒートシンクに接着剤のようなものが付着しています。

これは、CPUとヒートシンクの間を埋めて、熱がより伝わるように塗られているCPUグリスです。

新しいCPUを取り付ける際に塗り直しますので、古いグリスは乾いた布などで軽く拭き取っておきます。

グリスを拭き取ったヒートシンク

グリスを拭き取ったCeleron(右)と用意したi5(左) i5のほうがコアが一回り大きい

Intelのモバイル向けCPUは、CPU側にピンが立っています。

取り付け向きに注意して、ピンを折らないように慎重に取り付けます。

ロックを元に戻し、銀色のコア部分にCPUグリスを適量塗ります。

少なすぎるとヒートシンクとの間に隙間ができ、冷却性能が著しく落ちます。

塗りすぎてはみ出すのも故障の原因のため、しっかり均一に伸ばすのが大事です。

グリスを塗った写真を取り忘れました…

今回は1g単価が安く塗りやすいと評判のMX-4グリスを使用しました。

後はヒートシンクとファンを取り付けて作業終了です。

 

CPUの交換は、メモリの増設よりトラブルの発生頻度が高いです。

ピン折れやグリスの塗り過ぎによるショートなど物理的な破損や、マザーボードとの相性問題が発生しやすいためです。

CPUを交換したらWindowsを起動する前に、HDDやSSDを外してBIOS画面が表示できるか確認してみましょう。

BIOS画面の表示方法はメーカー等によって違いますが、起動時にF2キーやDelキーを押す場合が多いです。

きちんとCPUを認識してくれるでしょうか・・・?

起動した

BIOSが起動しました。

CPUもCore i5 3320M 2.6GHzで認識しています。

HDDを取り付けると、Windowsも問題なく起動できました。

早速ベンチマークを取ります。

結果はこちら。

スコアは全体的に上昇していますね。

Windows上でも、問題なくCore i5 3320Mとして認識しています。

気になっていた発熱も、59.5℃前後と、それほど上昇はしませんでした。

Celeron 1005MとCore i5 3320MのTDPはどちらも35Wなので、同じ条件での消費電力はほぼ変わらないようです。

メモリ増設時に発熱が増えたのは、電気を使うメモリが単純に1枚増えたことや、ネックになっていたメモリに余裕ができたことによる計算量の増加などで消費電力が増えたことによるものと考えられます。

懸念事項はひとまず解消され、スコアも1.7倍になりましたが、体感できる差はあるでしょうか。

しばらくネットサーフィンやYouTubeでの動画視聴をしてみたので、主観にはなりますがその感想を付け加えておきます。

 

Celeron CPU、メモリ4GBの初期状態と比べると、明らかに起動速度や動作が速くなっており、スペック不足によるストレスは全くなくなったと言っていいでしょう。

前回気になったYouTube再生ですが、通常画面時は1080p60fpsの設定でもカクつかずに再生できます。

全画面表示の切替時のラグは少し残りましたが、CPU交換前よりは改善されています。

Core i3 7100 CPU、DDR4-2400 8GBメモリ2枚、GTX 1050Ti GPU、SSDシステムドライブのデスクトップ構成でも、全画面切替時には1秒ほどのラグがあるので、無視できるほどのものです。

切替時に再生が止まるようなことはありません。

動画を再生しながらタブを3つほど開いてTwitterやウェブサイトの閲覧も試しましたが、こちらもストレスは感じませんでした。

まとめ

前回に引き続き、スペック不足だったノートパソコンのCPUを交換してみました。

体感上、メモリを増設したときほどの大きな変化はありませんでしたが、動画視聴やネットサーフィン、Office用途程度であればストレスなく使えるようになったかと思います。

ノートパソコン用のCPUは一般に流通していないので、バルク品を個人出品者から購入しましたが、故障していて動作しない場合もあるためトラブルになる場合もあります。

そういったリスクを考えるとメモリの増設だけでも十分だったようにも思えますが、数千円で「遊びながらあわよくばスペック向上」が主目的でしたので、個人的には大満足。

メモリの増設だけであれば、機械が得意でない方も挑戦できる難易度ですし、4GBメモリを1枚追加するだけなら費用も2000円程度でできますので、一度お手持ちのパソコンを確認されてみてはいかがでしょうか?

←今回使用したもの

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