プラスチックストローから紙ストローへ:環境への影響とその背後にある事情
プラスチックストローから紙ストローに切り替えるとプラスチック廃棄物が削減されると言われていますが、それが環境にどのようなメリットをもたらすかについての説得力のある説明を聞いた事がありますか?
SNSで検索してみると紙ストローについて世界中の人が同じことを思っているようです。
- 使いにくい
- 時間が経つと吸収されて飲みにくくなる
- 紙のような味がする。
紙ストローにはこれらのデメリットを上回るメリットがあるのでしょうか?
実際のところほんの少しのプラスチックごみを削減できる以外にメリットは無いようです。
世界中の人々が紙ストローを使わなければならなかったのには理由がありました。
紙ストローを使う理由1:
ウミガメがかわいそうだから
2015年に投稿されたとある動画が欧米でバスりました。ウミガメの鼻にプラストローが刺さり、それを引き抜く動画です。
これを発端にウミガメがかわいそうということで、欧米の環境活動家がこの動画を掲げてプラスチックストローを無くして海からプラスチックごみを減らすべきと主張してきました。
紙ストローを使う理由2:
投資家からお金を集められるから
「ウミガメがかわいそう→プラストローをやめよう」という短絡的な思考で始まり、SNS等によりプラストロー廃止で海洋プラスチックごみを減らそうという動きが拡散されていきました。
そういった社会的な背景があり、環境問題に取り組んでいる企業はESG投資の対象になりやすくなっています。
ESG投資とは
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/esginvestments/
ESGは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。
投資家が企業の株式などに投資するとき、これまでは投資先の価値を測る材料として、主にキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報が使われてきました。
それに加え、非財務情報であるESGの要素を考慮する投資が「ESG投資」です。
プラスチックごみを沢山捨てている国は中国や東南アジア

プラスチックストローの廃止は欧米から始まった運動ですが、プラスチックごみをなくす国は中国や東南アジアの発展途上国です。
たとえ西側の消費者がプラスチックストローの使用をやめたとしても、何も解決しないでしょう。
プラスチックストローよりもタバコの吸い殻やペットボトルの方が圧倒的に多い
次のPDFでは海洋ゴミのトップ10が載っているのですが、プラストローは7番目に多く、トップ10の中では6%の割合でしかありません。
それよりも、タバコの吸い殻やペットボトルの方が圧倒的に多いのです。
PDF: https://oceanconservancy.org/wp-content/uploads/2018/07/Building-A-Clean-Swell.pdf

海洋プラゴミ削減のシンボルとしての紙ストロー
プラストローを廃止したところで、海のプラスチックごみの根本的な解決にはなりませんが、ウミガメ動画のインパクトが強かったがために、科学的な根拠や裏付けがないまま、プラストローを廃止させる方向へと世論が形成されていきました。
しまいには子供たちまでもがストローを無くそうという主張をし始め、紙ストローは海からプラスチックごみを無くすシンボルとして崇められました。
紙ストローの問題点
紙ストローには実用面以外にもいくつかの問題点を指摘されています。
これは何の皮肉か分かりませんが、スタバではプラスチック容器に紙ストローを使用する形になっています。
海のプラスチックゴミを減らしたいのであれば、容器も紙にするべきでしょう。

海洋プラスチックごみの問題の解決にはならない
プラストローがウミガメの鼻に刺さったことはたまたま起こった事故です。
例え、プラストローから紙ストローに移行したとしても、プラストローの海洋ゴミの割合はほんのわずかで、海洋プラスチックごみの根本的な解決になりません。
ESG投資といって最近は帳簿の外にある要素が重視されるようになっていきました。
そこで目を向けられたのが環境問題への取り組みで、そういった実績がある所ほどESGを重視する投資家からお金を集める事ができるというわけです。
環境を良くしようという姿勢は非常に大事ではありますが、企業は実績作りありきで非科学的な決定を行いがちです。
その証拠が、プラスチック容器に紙ストローを指すようなヘンテコな状況です。
「金儲けをする投資家と、不便な紙ストローを使わざるを得ない消費者、変わらない海洋プラスチックごみ問題」という構図はこれからもしばらく続くでしょう。
参考: