スパイは身近に潜んでいるが日本にはスパイ防止法がない

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スパイは映画やドラマの中だけの話ではない。

実際に起こった国内のスパイ事件

調べてみると、ロシア、中国、朝鮮によるスパイ事件が山ほどある。全部挙げていたらキリがないので、一番最近の事件を例に挙げる。

ソフトバンク機密漏洩事件(2018年)

元外交官で在日ロシア通商代表部のアントン・カリニン元代表代理は、ソフトバンク元社員を飲食店で接待し、繰り返し情報を入手。報酬として1回につき数万~約20万円、計数十万円を渡したとみられる。警視庁は、代表に次ぐナンバー2の立場で通商代表部に籍を置きながら、ロシア対外情報庁(SVR)で科学技術に関する情報を収集する「ラインX」の一員としてスパイ活動に従事していたとみている。

https://www.asahi.com/articles/ASN5Q7HX3N5QUTIL02S.html

この事件では5G技術を狙っていたと思われる。ロシアの軍事ネットワーク技術は中国の技術に頼りっきりであったが、自国で軍事ネットワーク通信システム開発に乗り出し、そのターゲットがソフトバンクだった。

ソフトバンク社員は2020年1月に不正競争防止法違反により逮捕された。

スパイのアントン・カリニン元代表代理にも出頭要請したが、外交特権を盾に拒否し、2020年2月に報道陣をしり目に堂々と帰国。

週刊文春

警察は起訴に向けて動いていたが、東京地検は出国済みで再入国の見込みがないとして、不起訴処分。

日本ではスパイ防止法がないため、スパイの出国を誰も止めることができなかった。

スパイの目的

最近の戦争は、ミサイルや銃器による物理的な攻撃で制するものではなく、その国の最先端技術などの奪うことによって国力をそぎ、奪った技術によって自国を富ませ、国力の差で優位に立つという手段をとる。戦争の勝敗を決める大きな要素は国力である。国力の差をつけることで戦争に勝つことと同義になる。

スパイの手口

スパイ事件を調べていると、古くから手口はほとんど変わらず、飲み屋などで親密になり、お金を渡して情報を得るという、いわゆるソーシャルエンジニアリングによる手法が多いようだ。

どれだけ会社組織の物理・論理セキュリティをアップデートしても、それを利用する人間の脆弱性まではアップデートは不可能だ。

スパイ活動を取り締まる法律がないのは日本だけ

1985年に「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」が自由民主党所属議員により衆議院に議員立法として提出されたが、国民の権利制限に直結する法律であることや報道の自由が侵害されることに対する懸念から、マスメディアから反対が起こり、審議未了廃案となった。

これに対し、元警視庁公安部の江藤史朗氏は、隣国のスパイによって政治家が操作されているという。また、日本は戦前の特高警察などの反省から、国家に力を持たせることを非とする価値観が国民の中で出来上がってしまっているのも要因であると考えられる。

他国ではスパイに対して最高刑を科すことができ、場合によっては殺害もできるしニュースにもならない。これから日本を守っていくためには、スパイ防止法の制定とスパイの取り締まりが必要であると考える。

https://www.spyboshi.jp/