PornHubの「Video has been flagged for verification…」とは
人気アダルト動画サイト「PornHub」において、去年の末から多くの動画が閲覧できなくなるという非常事態が発生し、接続数2位である日本でも大きな話題となっていた。
PornHubで起きたこと
1.動画のアップロードにはユーザーの本人確認が必要になった
以前からリベンジポルノや児童ポルノなどがアップロードされる問題があったため、動画のアップロードは本人確認済みのユーザーにしかできない仕様になった。
アップロードユーザーの本人確認が済んでいない動画は非公開となり「Video has been flagged for verification in accordance with our trust and safety policy」というメッセージが表示されるようになった。
2.ダウンロードができなくなった
以前は、動画のダウンロードが可能だったが、現在は認証済みユーザーの有料ダウンロードのみとなった。
また、フィンガープリント技術によって、非公開前または削除前にダウンロードされた動画の再アップロードもできないようになっている。
3.審査体制が強化された
違法アップロード、リベンジポルノ、児童ポルノなどの違法コンテンツからコミュニティを保護するために「レッドチーム」と呼ばれるモデレーターチームが設立された。レッドチームによって、サイト内のコンテンツや検索ワードなどが人力で監視されている。
人力と自動検知技術の統合によって違法コンテンツの撲滅を目指している。自動検知技術には次のものがある。
- CSAI Match:児童ポルノを検出するためのYouTubeのテクノロジー
- ContentSafety API:違法画像の検出を支援するGoogleの人工知能
- PhotoDNA:既知の違法画像を検出するマイクロソフトの技術
- Vobile:アップロードコンテンツをスキャンし、許可されていないコンテンツと一致する可能性があるかスキャンする技術。禁止コンテンツの転載防止。
以上のほかにも子供の安全の分野で40を超える非営利団体などと連携したフラガープログラムや、透明性レポートの公開、法律事務所と連携したコンプラの評価など様々な対策が行われている。
Our Commitment to Trust and Safety
削除されたわけではない
今後何かの役に立つとはとても思えませんがPornhub削除祭りの結果、動画本数は約78%減少した事を記しておきます。 pic.twitter.com/7i2c2IhTS0
— ✯Aran susie✯ (@yukisanu) December 14, 2020
PornHubにアップロードされた動画の7割が閲覧できなくなったことで、ネット上では「削除祭り」と言われたが、見えないからと言って削除されたというわけではないようで。
おそらく、動画のアップロードユーザーが本人確認を行えば、再生できるようになる可能性がある。
しかし、ほとんどのアップロードユーザーはわざわざ本人確認をしないだろう。グレーなコンテンツを上げていたらなおさらだ。そういう意味では削除なのかもしれない。
本当に削除された場合の表示
ちなみに違う理由で削除された動画については次のような表示が出る。
著作権などで申し立てを受けて削除された場合
PornHubあるいはユーザーによって削除された場合
なぜこうなったか
ピューリッツァー賞の受賞歴のあるアメリカの著名なジャーナリスト、ニコラス・クリストフ氏による告発がきっかけである。「PornHubには未成年の動画が含まれている。ほかにもリベンジポルノや隠し撮りといった、合意に基づかないと思われる違法なコンテンツがあり、それが収益化に利用されている」といった内容の記事がニューヨークタイムズに掲載された。
PornHubは記事の内容を否定したものの、批判の声が殺到し、今回のような徹底的な違法コンテンツ対策が行われた。
誰も悪くない
以前からリベンジポルノや児童ポルノについては問題になっていた。それらを取り締まるのは当たり前で何も悪いことはない。
個人的にはPornHub対応は最善だと思う。むしろ、悪質なコンテンツを徹底的に排除し、有益なコンテンツを保護するという熱意が感じられた。もし対策をしないで批判にさらされたままだったら、サイトごと消えていたかもしれない…
この流れはほかの動画サイトにもあるようで、人類の歴史が一歩進んだ瞬間ではないだろうか。