「AMS91K」「AMS99T」とは?YouTubeの投資系動画のコメント欄でよく見かけるワードを調査

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Amazonを騙る詐欺コイン

追記:「AMS99T」や「AMX」などと名前を少しに変えたコメントもありますが、「AMS91K」と同じ詐欺コインです。

「AMS91K」というワードを言及するコメントが多数

何気なく投資に関するYouTube動画を見ていたら次のようなコメントを見かけました。

https://www.youtube.com/watch?v=KXUdSetgIiYのコメント欄(2024.04.28)

AMS91K」について言及しているコメントの全てがAI翻訳っぽい文章。
そして、3件のコメントともいいね数が113と異様に高い。投稿時間も「17時間前」と同じ。

気になったので「AMS91K」についてググってみるとYouTube動画がいくつかヒット。
ヒットした日本語圏の動画をひとつ見てみると、コメント欄が「AMS91K」を言及するものに埋め尽くされていました。

https://www.youtube.com/watch?v=559nC-Fqazcのコメント欄(2024.04.28)

AMS91Kについて直接言及する動画が怪しさ満点

次の動画は「AMS91K」について言及している英語圏の動画です。

内容をざっくりと要約すると、

  • AMSは現在プレセール中の新しい暗号通貨
  • 3日間で7.2万ドルの投資を3000万ドルに変えた人がいる
  • AMSトークンは100倍の価値成長の可能性を秘めている
  • AMSに非常に強気であり、投資する価値がある
  • プレセールは後3日で終了する

非常によくできている動画ですが、話している内容はどうも怪しい

チャンネルを見てみると、42.8万人の登録者がいるにもかかわらず、動画が3つしか上っていません。

https://www.youtube.com/@VirtualBaconTVのスクリーンショット

登録者数と動画数・再生数がつり合っていないように見えます。
YouTubeチャンネルは売買できるので、お金で手に入れたチャンネルかもしれません。

他にも同じように「AMS91K」について言及するチャンネルがいくつかありました。

どれも概要欄にURL「https://www.amstokens.io/presale/」が貼ってあります。

動画中のコインテレグラフのWebページが偽物

最初の動画(1:30~)では、コインテレグラフのWebページを引用しながら説明しているのですが、ページのデザインが明らかにコインテレグラフのものと異なります

動画の1:30~のコインテレグラフの記事とされる部分

WordPressの適当なテンプレートのロゴをコインテレグラフのモノに差し替えたように見えます。

本物のコインテレグラフのWebページはこちら↓

本物のコインテレグラフのWebページ

タイトルをGoogle検索してみましたが、該当記事はヒットしませんでした。

そんな怪しさ満点な動画で宣伝しているリンクを調べる

怪しい動画の概要欄に貼ってあるリンク「https://www.amstokens.io/presale/」を調べてみます。
アクセスするとこのようなページが表示されます。

ページ下部のコピーライト表示は、次のように本物のAmazonのサイトであるかのように書いてあります。
Copyright © 2024, Amazon.com, Inc. or its affiliates

「Privacy Notice」と「Conditions of Use」のリンクは本物のAmazonのサイトへリンクされています。

各種仮想通貨でAMSトークンが買える”とされている”

BTC,ETH,XRP,DOGEなどでAMSトークンを買えるとされています。
通貨を選択し金額を入力すると、送金先のQRコードが表示されます。

”AMSはAmazonによって初めて発行されるデジタルトークンです”(嘘)

トップページの下部に「Questions and Answers」というセクションがあり、AMSについての説明が書かれています。

https://www.amstokens.io/presale/の「What is AMS?」の項目

翻訳すると、

AMSはAmazonによって初めて発行されるデジタルトークンです。すべてのAmazonの販売業者や店舗で完全に統合され、製品のコストをさらに下げることなく、簡単かつ迅速な購入を可能にします。

まず、Amazonによって発行されるデジタルトークンは存在しません。
一応Google検索してもそんな話はヒットしません。

「AMS」という単語は実在しますが、「Amazon Marketing Service」の略で、Amazon内のリスティング広告サービスです。
例え、Amazonが本当にデジタルトークンを作ったとしても、既存の「AMS」と被るワードで呼ばないでしょう

トップページのカウントダウンは0になると巻き戻る

トップページにでかでかと配置されている”プレセール100%ボーナス”のカウントダウンは終了前に巻き戻るようになっています。

10:06に撮ったスクリーンショット

21:47に撮ったスクリーンショット

カウントダウン部分のスクリプトを見てみるとこのようになっています。

https://www.amstokens.io/presale/js/scripts.js

カウントダウン終了時刻は17:25に設定されており、
以下の部分でカウントダウンが終了したら、残り時間を1日足すという処理を行っています。

if (endTime < new Date()) {
  endTime.setDate(endTime.getDate() + 1);
}

サーバー情報について調べてみる

Whoisで「amstokens.io」について調べてみました。
Whoisとはドメインの登録者や管理者の情報を参照するためのサービスです。

左:Whois情報 右:IPアドレス

Whois情報は長いのでかいつまんで説明すると、

amstokens.ioドメインが取得されたのは、日本時間の2024年4月27日 (土) 15:50。
「AMS91K」について言及するコメントの投稿時間とほぼ一致します。

Updated Date: 2024-04-27T08:33:26Z
Creation Date: 2024-04-27T07:50:42Z

ドメイン登録業者はドイツの会社 https://www.key-systems.net/
Amazonはアメリカの企業です。

Registrar URL: http://key-systems.net

管理者情報はプライバシー情報として全て秘匿されている
個人が借りているドメインならよくあることだが、企業が契約しているドメインではありえない。

Admin Name: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Organization: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Street: REDACTED FOR PRIVACY
Admin City: REDACTED FOR PRIVACY
Admin State/Province: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Postal Code: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Country: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Phone: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Phone Ext: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Fax: REDACTED FOR PRIVACY
Admin Fax Ext: REDACTED FOR PRIVACY

サーバーはCloudflare

https://ipinfo.io/172.67.181.97

Cloudflare自体は真っ当な会社だと思いますが、違法サイトに利用されている場合が多い印象です。
例えば「漫画村」など。

以上、Whois情報などからamstokens.io」はAmazonとは無関係であることが明らかだと思います。

まとめ

投資系の動画のコメント欄に「AMS91K」について言及しているスパムコメントが大量発生する事象について色々と調べてみました。

  • 怪しさ満点の「AMS91K」について言及するYouTube動画がいくつか上がっている
  • ”AMSはAmazonによって初めて発行されるデジタルトークンです”という嘘説明
  • 「amstokens.io」はドイツの会社で登録されたドメインで、サーバーはCloudflareを使用しておりAmazonとは無関係
  • なぜか巻き戻るプレセールカウントダウン

そのキーワードをググらせて、それっぽい説明で丸め込んで詐欺サイトに誘導し、暗号通貨を振り込ませるというような詐欺手法だと思います。おそらく振り込んだ暗号通貨は帰ってこないでしょう。

投資詐欺には気を付けましょう。