自然農法はやめておけ!普通に栽培した方が収量も出来もいい事実

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自然農法は環境にやさしく、無農薬で生物多様性を保ちながら作物を育てる方法として注目されていますが、それを真似するのは個人的にはおススメしません。
結論から言いますと、タイトルの通り、普通に栽培した方が収量も出来も良いからです。

草を刈らない、耕さない、無農薬な自然農法

自然農法を一言でいうと、土壌の構造や生物多様性を守りつつ、有機野菜を育てる農法です。
大きな特長は、草を刈らない・耕さない・無農薬という点です。

慣行農法では、トラクターで耕し、時には薬剤で消毒し、土壌の構造や生態系を破壊してから、野菜の種を植え付けます。この方法では環境負荷がとても大きく、生物多様性を損なうという問題があります。昨今のバッタなどの害虫の大量発生は、慣行農法による要因も示唆されています。

そこで、慣行農法に対するアンチテーゼとして生まれたのが自然農法と言う考え方です。
自然へのインパクトを最小限に、虫たちと共存する形で野菜を育てる事を目的としており、環境問題やSDGsの観点から注目されています。

自然農法の落とし穴

筆者は5年前に農業法人で慣行農法による野菜の栽培を行ってきましたが、その後、自然農法に興味を持ち始め家庭菜園で実践してきました。

その経験から言いますと、自然農法は初心者の方にはおススメしません。

収量が悪いし出来が悪い

自然農法の手法を参考に、トマト、ナス、トウモロコシ、エダマメなどの苗を植え付けて育ててみたところ、どれも苗は大きくならず、半数が枯れて行き、生き残った苗は小さい実がぽつぽつとつく程度でした。肥料は十分に与え、水も十分でした。一方、慣行農法で行った畑の方は威勢よく育っていました。

少し収量が悪かったり少しばかり見た目が悪いくらいなら「自然農法はこんなものか」と納得できますが、枯れてしまう苗もあるし、そもそも実がつかないのです。

「草を刈らない」を真に受けるな

一般的に、畑には草一本生やさないことが正義とされていますが、自然農法では草はグラウンドカバーとして有用であるため「草を刈らない」と言われています。

しかし、「草を刈らない」という言葉を真に受けて全く刈らないでいると、アレロパシー効果によって野菜の苗を弱らせてしまいます。

アレロパシーとは、植物が放出する化学物質が、ほかの植物や虫に対して殺菌や成長・発芽の抑制、忌避作用などにより阻害的に作用したり、生長の促進など共栄的に作用したりするなど、よくも悪くも何らかの作用をもたらすことをいいます。

https://minorasu.basf.co.jp/80067

雑草の存在は土壌の生態系の維持や安定化など、ある程度有益ですが、イネ科の雑草や宿根系の雑草、コセンダングサなどの根っこが強い雑草は徹底的に排除しなければいけません。放置しておくと、根が強く繁殖力が凄まじい為、ほかの野菜を弱らせます。

刈るべき雑草:スズメノカタビラ
刈るべき雑草:コセンダングサ くっつき虫とも呼ばれる

説明が省かれている場合がありますが、自然農法をやるうえで「刈らなくても良い草」と「絶対に刈る草」が存在することに留意しなくてはなりません。

自然農法は土壌に依存する

自然農法は土壌が肥えていなければ成り立たない農法です。その土地によって、適している植物があったり、地力にムラがあったりします。自然農法の再現性は土壌への依存度が高いと言えます。

慣行農法では一旦ガーッとかき混ぜて除草をして堆肥を入れてリセットするため、おおよその土地でおおよそ均質なクオリティの野菜ができるというメリットがあるのです。そう考えると慣行農法も悪くないと思いませんか?

まとめ:自然農法は玄人向けである

筆者の畑は5年前から土づくり(生ごみや落ち葉などを土に混ぜる)を初めて、現在になってようやく自然農法が通用するようになってきました。
私の経験上、自然農法を始めるにはまず3~4年の土づくりが必要になるでしょう。

また、イネ科の雑草が多い土地では自然農法は向いていないと思った方がいいでしょう。

「ミミズが居るのは良い畑の証拠」といわれる場合が多いですが、ミミズが居るか否かは土の良しあしにあまり関係ありません。ミミズは痩せた土壌にも生息しています。

いきなり自然農法をやらずに一旦、有機栽培から初めて、土が出来てきたら自然農法に切り替えるのも良いと思います。土が出来てくると、雑草の種類が変化して行き、ホトケノザやカタバミなどのような花が咲くような繊細な草が増えてきます。そうなったらいよいよ自然農法ができそうな土壌に近づいてきたと言えるでしょう。

ホトケノザ

最後にまとめると、

  • 自然農法は肥沃な土地以外ではうまく行かない
  • 草を生やすと野菜が委縮してしまう
  • 出来たとしてもほどほどの収量にしかならない
  • 農薬を使い耕す慣行農法にも安定した形・収量などのメリットがある

以上の事を留意したうえで自然農法に挑みましょう。

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